非言語コミュニケーション=ノンバーバルコミュニケーションは
- 表情
- しぐさ
- 声のトーン・大きさ
- 身振り手振り
- 視線
上記の言語以外のコミュニケーションであることは以前の記事でも書きました。
これらは単純に言語以外の全てにあたるので一人歩きしてしまった「見た目が9割」という捉え方ができてしまいます。
なぜ「見た目が9割」となってしまったか。そして陥りやすいミスについて掘り下げます。
初頭効果
人は出会った瞬間の相手の印象が後々まで大きく影響します。これは初頭効果と言われ、第一印象で与えてしまった想いをずっと引きずることを言います。第一印象はなんとわずか0.5秒で判断すると言われます。これをワンクラップの法則と言います。
これを乗り越えるには4つの壁があると言われます。
- 外見 深津でだらしない身なりの人には嫌悪感を覚える
- 態度 謙虚な姿勢は好印象につながる
- 話し方 明るく正しい口調、言葉使いが大切
- 話の内容 興味深く関心の高い内容は人を惹きつける
メラビアンの法則
実は相手と会話をする=コミュニケーションを図る時に、目から入る情報(視覚情報)は55%を占め、耳から入る情報(聴覚情報)は38%も占めているのです。【ノンバーバルコミュニケーション比率93%】
私たちが特に初級時に「カウンセリングが難しい」と悩んでいる時、主に「どう伝えたらよいのかわからない」と悩んでいたことでしょう。そもそも大きな勘違いです。言葉での情報(言語情報)はなんと7%しか情報受け取られていないというのです。【バーバルコミュニケーション比率7%】
これを知った時は衝撃でした。
これは実験検証して法則になっています。
この考え方は、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの実験によって提唱された俗流解釈です。よってメラビアンの法則と名付けられています。先程の4つな壁を指摘したのもメラビアンです。
言葉よりも見た目や話し方のほうが伝わるのではないか?と。見た目を磨き言葉使いを丁寧にし、ボディーランゲージを増やすことでカウンセリングがうまくいくと勘違いしました。
視覚情報
態度や表情、目線、しぐさ、身振り手振りなど見た目から受け取れる情報を指します。これが55%も占めるので目から入る情報=見た目が大事!!となるわけです。
聴覚情報
話している声の大きさ、トーン、スピードで聞き心地の良い言葉選びをすることでこの人は丁寧だ!!と思わせるのです
言語情報
言葉の内容や言葉そのもの。本来伝えたい言葉を指します。
本当であれば言葉を伝えたいから身振り手振りを加えて説得力ある話し方でカウンセリングをするはずが、ただ大げさな人になってしまっていました
メラビアンの法則の勘違い
ノンバーバルコミュニケーションが全体の93%を占めるのは先ほど書きました。これにより見た目が9割以上を占めるので見た目を磨くことが最優先と考えました。浅はかですよね。
なぜ勘違いだったのか掘り下げます。
表面しか見れていない
そもそもメラビアンの法則では対象となる言葉があり、ことばを見た目と聞き方が変わるとどうとらえかたがかわるか?という実験のもとに提唱された解釈です。
しかし93%:7%の比率だけが独り歩きしてしまい言葉以外の部分=見た目9割となってしまったようです。残念ですが私もおなじでした。
私のしたこと
- 見た目に印象の悪くない服を着る
- 髪型を流行に合わせる
- 言葉使いを丁寧にする
メラビアンの法則にのっとって自分を変えたつもりでしたが結果は2回目までのリピートは増えましたが3回目4回目へのリピートにはつながりませんでした。法則の表面しか見れていないため、間違った考え方にどんどん進んでしまいます。
理容師・美容師がメラビアンの法則を活用する
何が悪かったのかを検証します。
視覚情報を左右する見た目にまずは着手しました。らしくないといわれても今までが認められなかったのだから一番に変化をさせるべきでした。服装を変えると髪型も以前の好みでは合わなくなります。こちらも変化させました。
視覚情報の検証
結果は上々のスタートで20%の新規リピート率が42%まで伸びました。もうすごいと思いましたよね!やっぱり見た目だと!!身振り手振りも大きくなり習ってきて、技術、カウンセリングに自信が持てるようになりどんどん提案も決まります。
しかし見た目でリピートが取れるようになると見た目重視の考え方に偏り自分をよく見せるための方法ばかりを考えてしまいます。当然3回目以降のリピートは22%までへこみました。
聴覚情報の検証
見た目だけではお客様が付いてこないことに疑問に思いもう一度メラビアンの法則を見返すと聴覚も大事とされています。言葉遣いにも気を付けるようになります。
接客用語を学び積極的に話すだけではなく、失礼のない言葉選びを心がけるようにしゃべり始めました。
検証の結果
最終的にリピート率は上がりませんでした。ダニング=クルーガー効果もあったと思いますが、もう本当に対人コミュニケーションは向いていないと思いました。
しかし、あることに気づきます。お分かりになりましたか?実はできていないことがたった一つありました。それは
お客様が主語のコミュニケーション
たったこれだけ。
私の間違えは、自分の伝えたいこと・自分の容姿を変える事・自分の言葉使いを変える事。全部主語は自分でした。
お客様のことを考えたカウンセリング、お客様のことを考えた提案、お客様の事を考えた技術、お客様お客様お客様・・・・・口ではお客様と言いながらしていたこと=主語は自分なのです。
自分の人生主人公は自分なので当然の発想なのですが、サロン内では自分を演じることが求められます。
サロン内での主人公はお客様なのです。
私達理容師美容師は主人公を輝かせるために最高の監督・演出家・脚本家・ヘアメイクアーティストになるべきだと私は考えています。
上記の考えを元にメラビアンの法則を活用すると自分の間違いに気付きます。検証の時点で間違っていたことに。
もう一度言います
サロン内での主人公はお客様です。
サロンワークでの活用
ミラーリング・バックトラッキングのカウンセリングにノンバーバルコミュニケーションを追加してみましょう
- 見た目の不快感が無い服装で第一印象を下げずにカウンセリングに向かいます。(視覚情報)
- 顔・腕・服・靴に髪の毛が付いていない事で清潔な印象を与えます(視覚情報)
- 柔らかい笑顔・緩やかなスピードで「お待たせいたしました」と挨拶し、正しい口調で話し始める(視覚・聴覚情報)
見た目が9割と言われるのは第一印象をよくすることでこのスタイリストなら失敗はないかな?と思ってもらいやすくするのです。この時点でお客様から情報=悩みを引き出せるかどうかがほぼ決まります。
髪の毛が膨らんでしまって気になっているのですよ・・・それで相談したくて・・・
悩みを教えてもらいました。ミラーリングとノンバーバルコミュニケーションを活用します
(お客様と目線を合わせながら)髪の毛が膨らんでしまって気になっているのですね。(お客様の動作に合わせて自分の髪をエアーで触る)(目を髪に移す)「失礼します。髪の毛触らせてもらいますね。そうですね。(少し声のトーンを下げながらお客様が話したスピードに合わせて話していく)確かに気になりますよね・・・」(心配そうに)
(もう一度お客様に目を戻して自信を持った表情で)それでどんな相談でしょうか。可能な限りお答えできる様にしていきますので、何なりとおっしゃってください。
黄色のアンダーラインマーカーがメラビアンの法則の視覚・聴覚情報です。意外と簡単ですよね。普段のカウンセリングでも心がけていると思います。しかし大切なのは
- お客様の行動に合わせた動きをすること(髪をエアーで触ることなど)=視覚情報
- お客様の会話のスピードに合わせること=聴覚情報
- お客様の悩みを解決できる言葉と印象を与え、不安を解消させること=言語情報
3つがセットになることであなたのお客様からの印象は大きく変わります。
特にコロナ禍でマスクでの接客が当たり前になり、表情での抑揚が掴みにくくなっています。女性ならアイメイクに特に気を使う、男性なら穏やかな目を心がけるなど普段から鏡でトレーニングすると良いと思います。お客様は鏡越しで見ています。
カウンセリングに必要なのは決して大袈裟な身振り手振りではなく、誇張発言もする事なく、スマートかつ自信を持って接する事です。あなたからの提案でお客様に段階を踏んで自分が綺麗になっていく未来を想像してもらいましょう。これをストーリーテリングと言います。
私のお客様で高級車のセールスマンがいます。5年連続で年間セールス全国トップ5に入っている方ですが、必ず心がけているのが「自分がこの車のオーナーになった姿を想像してもらうこと。笑顔あふれる生活が手に入ること」をイメージしてもらっているそうです。私達でいう「自分が綺麗になった姿。手入れがしやすくなり、周りから評価されて笑顔になれる姿」ですね。これもストーリーテリングです。古くは聖書でも使われている方法です。別記事で掘り下げます。
あなたの良さを最大限発揮できるのはあなた自身です。たくさん学んで引き出しを増やしましょう。
まとめ
心理学=騙しているとか思われがちですが、私たちは知らず知らずのうちに心理学の応用をしています。というより、私たちが活用している事のほとんどの事が効果や法則として定義されています。学問になることで難しいとか専門用語が出てくると急に抵抗が出る方もいますが、効果や法則には相性があり、組み合わせることで最大限能力を発揮できることがわかっています。カウンセラーやメンタリスト、占い師などはこれを効果的に活用しています。心理学を学んでお客様の悩みを不安を与えないように解決していく方向に導いていき、私たちも信頼される立場になっていきましょう。
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